あの作家(ひと)のこの楽曲(うた)

      大村雅朗   スマイル・フォー・ミー        ソリッドな感じに仕上げました



     おそらく最もポピュラーな奈保子さんの楽曲のひとつとして認知されているこの歌のヒットの最大の
     要因はアレンジにあると私は思います。


     スマイルフォーミーはデビュー曲の「延長線上のもの」として、船山基紀アレンジで制作され2作目の
     競作の候補となり、それをもう少しソリッドな感じに仕上げて5枚目のシングルとなります。
     (JEWEL BOX ★100ページ豪華ブックレット★当時のディレクターが語るインサイド・ストーリー)

     思い切り邪推すれば「競作」の時点で5枚目になることも決まっており、アレンジャーの大村雅朗さん
     のスケジュールも事前に押さえていたかもと思わせるくらいアレンジがバッチリはまっています。。



     アレンジャーの大村雅朗さんは当時松田聖子さんのシングルのアレンジを立て続けに行うなど
     当時の売れっ子編曲家のひとり。
     以前からのニューミュージックのアコースティクな音創り(ばんばひろふみ 岸田智志 永井龍雲 等)に
     加えて、八神純子さん等のウェストコースト風のサウンドで一世を風靡します。



     演奏そのものはまるでコンサートのアドリブのように楽器同士の掛け合いが凄まじいです。
     元のアレンジにはなかったホーンセクションが兎に角派手で、華々しく幕を開け、キーボードは
     浜田省吾、甲斐バンド、佐野元春などのツアー で腕を磨き後にアレンジャーとして尾崎豊に
     デビューから携わる 西本明が凄まじい勢いでピアノをかき鳴らし
     #サビの部分は軽快です

     エレキギターは、日本のロックバンドの元祖はっぴいえんど出身で日本的な”泣かせる湿った音”
     が魅力的な鈴木茂が雄叫びのような音を響かせています。
     #間奏部分のソロはアイドルのそれとは感じさせません

     ”ソリッドな感じ”というのは夏らしく尖った涼しげな音ということだったでしょうか?
     演奏だけでも本当に楽しめそうな爽やかな楽曲です。



     しかしそんな彼の登用はまた

     「今度の曲はアレンジャーが聖子ちゃんの曲を担当している大村雅朗さんになって、ちょっと聖子
     ちゃんの曲の雰囲気に近いみたいだけど・・・。自分でそんなこと感じた?」
     http://www.kawainaoko.com/WWW/SPOT/spot55.html

     などという印象を世間に持たれるリスクも伴うことになります。

     幸運なことにこのシングルの発売後に出た
     「白いパラソル」 (作詞:松本 隆作曲:財津和夫編曲:大村雅朗)
     から聖子スタッフは松本隆一派 松任谷夫妻を中心とするものに移ります。
     以後大村雅朗さんがシングルを手がけなくなり、その懸念も消えます。
     #アルバム制作には引き続き関わりますが
     #そしてスゥイートメモリーが生まれます

     そして奈保子さんの中心的なアレンジャーとして彼女をささえていただけることとなります。



     ちなみにアルバムSUMMER HEROINEの「I My Me Mine 」は演奏メンバーがスマイル
     と同じなのでB面候補だったのかもしれません。


     残念ながら多彩な才能の持ち主であった大村雅朗さんは1997年6月に他界されてしまいました。
     謹んでご冥福をお祈りします。



      筒美京平   ジェラストレイン            常に真剣勝負です
      
馬飼野康二  トワイライトドリーム          バラードを歌わせて
      竹内まりあ   けんかをやめて            coming soon
      石川優子    スカイパーク             
coming soon








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